日本人としての誇り

「日本人としての誇り」について

「日本とは何か?」、以前、「日本人として知っておきたいこと」に纏めてみた。
更に「日本人としての誇り」をどう持てばいいのか
日本人の特質についても整理を試みたい。

私も戦後生まれの世代であるが、太平洋戦争での敗戦後、焼け野原からの
国家再建に取り組み、世界2位のGDPに至る経済成長を築いてきた先人達の
これまでの苦労に心から敬意を表したい。

先人達には、戦後の国家再建という大きな目標があった。彼らの心の中には、
共通して、日本を愛する「愛国心」が清流のように流れていたであろう。

戦後65年以上の時が流れ、当時を知る時代の生き証人が、だんだん
少なくなってくるにつれ、先人達が必死に守り、育んできたはずの
日本の伝統・文化・精神という歴史遺産をともすれば、過去の日本の
歴史を否定することで失いかねない危機感を抱かざるを得ない。

事実、高校の学習指導要領では、地理・歴史の内、必修科目は
「世界史」だけで「日本史」と「地理」は選択科目となってしまっている。
自国の歴史を必修科目とせず、次代を担う子供達に学ぶ義務を課さない国は
世界の中で日本以外には存在しないのではあるまいか。

そこまで自国の歴史に恥じ入っているのかと不思議に思えてならない。
自虐的とも受け取れる国家への誇りを失った風潮が蔓延しているのではないか
という暗澹たる気持ちで国家の将来に危惧を抱くのは私一人ではあるまい。

自分は、もとより歴史の専門家でなく、浅学非才の身であるが、日本の歴史の
事実を紐解きながら、日本人としての歴史認識を整理し、アイデンティティ
国家観を持ち、日本人としての誇りをもって世界と向き合うべきであると
信じている。

何人も、好むと好まざるに関わり無く、自国の歴史に背を向けて
生きていくことはできないし、
また、自国の歴史に学ぼうとしない国民に明日はない。

日本人としてこの世に生を受けた以上、2千年以上に亘る、悠久の昔から
連綿として、祖先から受け継ぎ、刻み込まれたDNAを紐解き、
自分の国を愛し、歴史認識と日本人としての国家観を持ち行動すべきである。

以下では、(1)日本の特性 (2)日本人の国民性(3)日本人の知恵 
の三つの視点から順番に整理を試みたい。

尚、全てを網羅できず、不完全な整理に留まることをご容赦願いたい。

(1) 日本の特性

① 他国から過去一度も征服されたことがない国家であること
② 皇室の伝統(125代)神話を起源とし、2千年以上もの間、同一の系譜
    (万世一系)を守ってきた他国に類を見ない国家であること   
③ 東洋の文化と西洋の文化との融合を実現した
     日本そのものが一つの文明と評価
④ 他国との戦争履歴が極めて少ない国家(1800年の間に3回)
     平安時代・江戸時代と累計600年もの長期に亘り平和が続いた国家
⑤ 四季に彩られた豊かな自然を持ち、亜寒帯から亜熱帯まで南北3千キロ
     に跨る国土を持つ国
⑥ 宗教観・・神道の八百万(やおよろず)の神に表されるように自然界
     にある全てのものが森羅万象信仰の対象であり、他の宗教・信仰に
     対しても排他的でない。 仏教・キリスト教イスラム教も含め、
     布教に寛容
聖徳太子の「十七条の憲法
     第一条「和を以て貴しと為し、忤うこと無きを宗と為よ。」
     にあるように「和」を国家の根本に置いた  

(2) 日本人の国民性  心のかたち 「和」の精神
(現在、薄れ、失われつつあるものも含め、取り戻すべく敢えて記載)

① 礼節を重んじる心 規律正しさ、「武士道」精神 (義と美意識) 
② 勤勉性     滅私奉公  働くことは喜びであり美徳
       働きが共同体の役に立つことを自らの喜びと感じる心を持つ
③ 忍耐心     我慢強さ 
④ 公徳心     倫理感 もののあわれ・義理人情・心の機微・憐憫の情
⑤ 名誉を重んじる信条  「恥」を知ること
⑥ 勇気      愛国心
⑦ 自己犠牲の精神 献身的
⑧ 匠の技を敬う心 士農工商の序列の3番目に「工」を入ることに表される
     刀鍛冶の技術・造船技術・測量技術・伝統工芸・日本画・食文化
     「道」がつくもの 華道・茶道・香道・武道など洗練されたものが多い
     刀鍛冶の高い技術が、種子島に初めて鉄砲が伝来し、僅か30年の間に、
     長篠の戦当時世界1の鉄砲生産量を誇るまで国内に浸透。

(3) 日本人の知恵  

① 斬新さと創意工夫 織田信長が長篠の戦で鉄砲を用いた3段戦法は
     欧州で同じ戦法が用いられたのは約60年後という斬新なものであった
織田信長は当時、世界に類を見ない大型船の側面を全て鉄で覆う
     鉄鋼船建造による海戦で大勝利を収めた、また、兵農分離を目的に
     城下に常時戦闘集団を配置し、楽市・楽座という税の恩典を与え、
     商売繁盛を図る
     検地による増収策、南蛮貿易による異国文化の吸収など偉才を発揮した
③ 教養の高さ
     識字率の高さは世界トップ水準にあった。
     寺小屋の普及により読み書き算盤が一般庶民に定着し、
     算盤での計算能力も高かった。
     明治維新当時の識字率は 男43% 女10%と
     産業革命下にある英国より高かった
④ 加工文化
     漢字の伝来に対し、表意文字表音文字とに使い分け
     を行い、平仮名・片仮名を発明した。そのまま受入れるのでなく、
     既存文化に工夫しながら独自性を発揮しながら組み入れを図った。
     先の素材を輸入し、加工品を輸出するという輸出立国にも繋がる
     知恵となった
⑤ 国家の危機への対応能力の高さ
     明治維新・太平洋戦争の敗戦・バブルの崩壊と国家存亡の危機を
     乗り越え、世界の大国となった活力の凄さ
⑥ 相互扶助
     地元の商人・篤志家が経済支援を行い、「私塾」・「寺小屋」を
     支えた他、頼母子講の存在など、相互に支援していく「お互い様」
     の風土を持つ
⑦ 技術力の高さ
     明治維新以降も造船技術や航空機製造技術など多くの分野で
     世界最先端技術の開発実績を多く持ち、「ものづくり」で
     世界を圧倒し、技術立国で飛躍的な経済成長を遂げた国家であること

以上、見てきたように日本人として誇りとしていいものばかりである。
アジアの小国であった日本が、明治維新以降、急速な近代化を図る過程で、
日清戦争の勝利に続き、日露戦争でも、世界の大国であったロシアに、
勝利したことは取り分け世界に衝撃を与えた。

有色人種の近代化間もない小国の日本が、白人国家で、大国ロシアに
勝利したことが歴史的な大事件として世界の有色民族に勇気を与え、
後のアジア諸国の独立に大きな精神的な支えになった。

アジアの偉大なリーダーであるマレーシアのマハティール元首相の唱えた
「ルックイースト政策」や台湾でも、「日本精神に学べ」が合言葉となる
などアジア諸国に多大な影響を与えた他、相対性理論で有名な
アルベルト・アインシュタイン博士が1922年に来日した際に氏が感銘を受け
以下の言葉を残したことも歴史の真実である。

今の日本を振り返る時に、こうした日本の先人達を持つことを誇りとし、
再び、国民自らの手で誇りを取り戻す作業に着手すべき時機が到来している。

アインシュタインの予言
近代日本の発達ほど、世界を驚かしたものはない。
この驚異的な発展には、他の国と異なる何ものかがなくてはならない。
果たせるかなこの国の、三千年の歴史がそれであった。
この長い歴史を通して、一系の天皇をいただいているということが、
今日の日本をあらせしめたのである。
私はこのような尊い国が、世界に一カ所位なくてはならないと考えていた。
なぜならば世界の未来は進むだけ進み、その間幾度か戦いは繰り返されて、
最後には戦いに疲れる時がくる。
その時人類はまことの平和を求めて、世界的な盟主を挙げねばならない。
この世界の盟主なるものは、武力や金力ではなく、凡ゆる国の歴史を
抜き越えた、最も古くまた尊い家柄でなくてはならぬ。
世界の文化はアジアに始まって、アジアに帰る。
それはアジアの高峰、日本に立ち戻らねばならない。
吾々は神に感謝する、吾々に日本という尊い国を作って置いてくれたことを。