惻隠の国(藤原 正彦)

惻隠の国について(藤原 正彦)氏から学ぶ

我国はかつて世界に類のない「惻隠の国」であった。

乃木大将は水師営での会見の席で、ロシアの敗軍の将ステッセル達に
武人としての名誉を重んじ、帯剣を許し、203高地で日露両軍の
戦死者の為に、慰霊碑を建てた。

7万人余りの捕虜を、日本の温暖の地に造った29か所の収容所で
手厚い医療福祉を施した。

惻隠、即ち弱者・敗者への思い遣りは、武士道の仁や仏教の慈悲にも
相通じる日本精神の精華である。

因みに、広辞苑では、「惻隠(そくいん)」について、
いたわしく思うこと。あわれみ。と説明している。