日本再立国に向けた処方箋(目指すべき国家像)

2.【目指すべき国家像】

国家像    ;「世界トップの技術立国(技術革新・起業家・人財育成)
         への変革と伝統工芸文化の継承。
         地域経済活性化;中小企業育成による技術立国と国民の豊かな
         人生設計を支援
         国民の安全と地球環境とアジア諸国との共生
         (人財交流・インフラ支援・資金支援)を図り
         アジア地域相互の安全と発展を目指す」

明治維新第二次世界大戦後との国家再建に際しての違いについて触れておきたい。

明治維新は、薩長土肥を中心とする命を賭けて戦った志士達が新政府の要職に就き、
旧幕府の中からも有能な人財を抜擢した。
彼らは、次の日本の国体をどうすればいいか?を探る目的で、当時の政府首脳
多数が明治4年から明治6年の略2年間に亘る「岩倉使節団」として欧米に視察を行い、
自らの目で見聞した調査報告に基づいて、国家理念を据え、国益・国策の視点から
憲法を初めとする日本の骨組みを形づくっていった。

第二次世界大戦後の国家再建の足取りは、日本占領軍であった連合国総司令部
GHQ)が起案した憲法や諸制度設計からスタートしたことで、
自ずから成り立ちが異なる。

戦後65年が経過した今、そろそろ、日本の国益・国策という視点から、
諸制度を見直すべき時機が到来しているのではないか。

政治部門では信頼回復に向けた国民の意思決定のあり方を見直すべきであり、

社会部門では、少子高齢化対策・福祉のあり方や、国民へ将来の希望を与える
メッセージとして(人生を楽しむ・ゆとり)を与え、教育のあり方も抜本的に
見直す必要があろう。具体的には、入学試験の難度に固執しすぎ、入学のハードル
のみ高くしている現行の入口主義から、大学入学後の知識・見識習得を問う
出口主義への転換を検討する試みや、天才を育てるシステム作り、
伝統工芸の保護育成、日本の歴史教育の見直し、税制、受益者負担を含めた
直間比率の見直しを行うべきである。

経済部門では、抜本的な産業構造調整、知的所有権強化
最先端技術・基礎研究分野は国家としての主体的な取り組み支援 
技術革新、技術者の育成、匠の技、伝統工芸・技術の認知、伝承・保護があげられる。

外交部門では国際政治の一次情報の入手・分析・判断を政府機能
として保有すること、並びに(欧米、アジア・アフリカ対応策)国防という重要部門、
夫々が国家機能として有機的に連携し、国家意思として統合され、情報発信できる
普通の国家造りを目指すべき時機が到来している。

次に、経済面からの再建策について論じたい。
前術の1.【日本の強みは何か】の欄で「ものづくり」が歴史的にも日本人の国民性
に合致していることが見てとれた。
中小企業の経営者とその社員は、戦後の焼け野原から必死になって勤勉に働いた。
永年にわたり、努力を積み重ね、「ものづくり」の技術力を磨き続けた。
こうした、地道な努力が目覚しい経済発展を遂げる原動力となった。
逞しい中小企業の存在に支えられ、日本は急速な経済復興を果たし、
世界に冠たる経済大国となり得たことに間違いはあるまい。

今をときめく大企業も、彼らの働きや下支えがあって初めて今日の成長
を果たすことができた。
大企業にとって中小企業はいわば恩人であった。

しかし、大企業は、プラザ合意以降、急激なスピードで進む円高を受け、
自らの生き残りを賭け、アジア諸国に工場を建設し、割安な人件費を求めて
部品加工など下請け業務を海外に移転せざるを得なくなった。

こうして、わが国の中小企業は、至宝ともいうべき、優れた産業技術や、
伝統工芸、文化遺産といった多くの分野で、匠の技を数多く持ちながらも、
受注がジワジワと落ち込み、赤字金額が膨らんでいった。

中小企業の一部は、技術を活かせないまま業務縮小に追い込まれる等、
事業の継続に多くの不安を抱え苦しんでいる。

そのため、中小企業の一部は、外部(海外)資本に頼らざるを得なくなり、
基幹産業技術が海外資本の手に移る、いわゆる「技術の海外流出」を招いている。

このまま放置を続けた場合、日本の中小企業は更に競争力を失い、衰退への道を
辿らざるを得ない。

日本の国、地方自治体はこうした国難とも言うべき事態に直面する今、
日本の経済再生の鍵を握る地域経済、特に中小企業から、将来の日本を支える
技術や技術者を守り、育てるための抜本的な改革を成し遂げることが急務である。

また、中小企業単独では進出が困難なアジア諸国への橋渡しを地域経済のリード役
となる中小企業の業種別、ニーズ毎に纏め、国家としてアジア諸国と共に経済発展を
図る目的で仲介機能を果たす組織も準備すべきである。

また、アジア諸国やアフリカの途上国支援についても、学校や水道・浄水施設整備など
国民生活に密着したインフラ支援を行い、
設備維持・継続に必要な人材(高齢者含む)供給支援、
インフラ建設 資金支援(民間からの資金導入(相続税優遇))も検討すべきである。

長期的な視点から、相手国民が心から感謝する(従来ODA型でない)
国民生活密着型の支援に重点を切り替えるべきと思う。

日本とアジア諸国、更にアフリカ諸国との経済交流を将来の国益とするならば
こうした国策を真剣に議論し日本の政策として果敢に実行していく逞しさが必要である。