石原慎太郎「俺は、君のためにこそ死ににいく」

無名塾の皆さんへ 視聴の薦め

製作総指揮・脚本、石原慎太郎 エッセイ「日本よ」から

私は最近、敬愛した仏の化身ともいえる特攻隊の母として慕われた
鳥浜トメさんから密かに聞かされたいくつかの挿話を元に、
かつての特攻隊の本当の姿を記録し残すための映画を指揮して作った。

あの痛ましい犠牲は、戦争というまぎれもない極限状況の中で若い青年たちが、
俗にいわれる天皇陛下のためなどという狂信ではなしに、
家族など自らの最愛の者たちを守るということのために苦しみもだえながらも
敢えて死んでいったことを伝えたいと思ったからだ。

それは極人間的な自己犠牲であって、かつての特攻隊と今日の無差別な
自爆テロとは絶対に、全く違う。

<特攻の母>と慕われた女性・鳥濱トメの視点から、特攻隊員たちを
取り巻く様々な愛を描いた「俺は、君のためにこそ死ににいく」が映画化された。 
東京都知事であり作家の石原慎太郎が、トメさん自身の口から若者たちの真実を聞き、
8年前に本作を企画し自ら脚本を書き上げた戦争群像劇である。 

<作品紹介>
太平洋戦争末期、富屋食堂を営む鳥濱トメ(岸惠子)は、
知覧が特攻基地となったことを知った。 
トメに会いに来ては飛び立っていく特攻隊員たち。 
二度と帰らない彼らを引き留めることも出来ず、複雑な思いを胸に秘め、
母親代わりとして慈愛の心で彼らを見守り続けていく。 

悩みながらも軍人としての本分を尽くそうとする中西(徳重聡)は
遺品の郵送をトメに託し、仲間に先立たれて死を急ぐ板東(窪塚洋介)は、
死んだ後に特攻に志願したことを父親に伝えて欲しいとトメに頼んだ。 

飛行機の故障で基地に戻って来る田端(筒井道隆)は、
トメに「日本は戦争に負ける」とつぶやいた…。 やがて終戦。 

しかし、それで全てが終わったわけではなかった。 

生き残った特攻隊員は、罪の意識を抱え、生の意味を問い続ける。 

トメは彼らの試練をもまざまざと目の当たりにすることになったのである…

(石原):
当然、映画というのは芸術作品ですから芸術性が高ければ、
どんどん発信していくのはいいことだと思う。 

だたし、勘違いして欲しくないのは、今世界で流行っている自爆テロ
特攻隊とは全く違うということ。 

あの自爆テロというのは、見栄えもなく訳も分からず市民を巻き沿いにしている。 

特攻隊というのは、戦争行為で明らかに敵対行為を持っている相手に向かって、
突っ込んで行ったものでこの二つは全然違うものです。