日本よ勁き国となれ(櫻井よしこ)に学ぶー5
日本人の知の精神
明治憲法は明治元年に出された「五箇条の御誓文」
の精神に基づいて起草されたが遡れば、それもまた、
「十七条憲法の精神」を受け継いでいる。
共に、日本人の生き方と価値観を濃厚に反映している。
たとえば、十七条憲法の第一条には
「上和らぎ、下睦びて、事をあげつらうにかなうときは、
ことわり自ずからに通う。何事か成さざらん」と書かれている。
身分の上下を超えて問題を論議し、十分に皆が理解するときには
道理は自ずと通るようになり、物事が達成されると説いている。
同憲法は、賄賂を戒め、貧しき民の訴えに公正に耳を傾けよと説き、
「信」と「義」の体現が政治の重要事だと強調する。
人間の知の力は大宇宙の真理から生ずるとの立場で、
人間の知の力を信じる基本姿勢を保っている。
遥かな昔、先人が定めた憲法、国の姿は、「和」(やわらぎ)を
基調とし、日本人一人ひとりの知の力を信じる民主的な精神に
よって成り立っていた。
先人たちが日本国の形として書き残した価値観は現代にも
十分通用するメッセージである。
強調すべきは、この十七条憲法の延長線上に五箇条の御誓文と
明治憲法があり、日本国の形としての憲法は時代を超えて繋がって
いるということ。
国家というものがひとつの有機体のように、民族の文明を世代を
超えて引き継いでいくものであることを示している。