人間万事塞翁が馬

昨日、2012年 ノーベル医学生理学賞
京都大学IPS細胞研究所長 山中伸弥教授(50歳)が受賞した。

日本人として名誉であり、教授の研究成果は全世界の人類にとって
希望の持てる研究である。今後、「創薬」・「再生医療」の分野で世界の
最先端を切り開く革命的な研究であることを皆さんと喜びを分かち合いたい。

人間万事塞翁が馬

人生の幸・不幸は予測できない。
ノーベル医学生理学賞を受賞した
京都大学IPS細胞研究所長 山中伸弥教授(50歳)がこの言葉を
支えに研究に力を注いできたことを知った。
この機会に、この言葉の故事を振り返ってみたい。

人間万事塞翁が馬」について
中国の北方に占いが得手な老人がいた。

更に北方には胡(こ)という異民族が住んでおり、
国境に城塞があった。

ある時、その老人の馬が北の胡の国の方角に逃げて
いってしまった。

北方周辺の馬は良馬が多く、高く売れるため近所の
人々は気の毒に思い老人をなぐさめに行ったところ、
老人は残念がっている様子もなく言った。

「このことが幸福にならないとも限らない。」

そしてしばらく経ったある日、逃げ出した馬が胡の良馬
をたくさん連れて帰ってきた、そこで近所の人たちが
お祝いを言いに行くと、老人は首を振って言った。

「このことが災いにならないとも限らない。」

しばらくすると、老人の息子がその馬から落ち、
足の骨を折ってしまった。

近所の人たちがかわいそうに思ってなぐさめに行くと、
老人は平然と言った。

「このことが幸福にならないとも限らない。」

1年が経ったころ胡の異民族たちが城塞に襲撃してきた。
城塞近くの若者はすべて戦いに行き、何とか胡人から
守ることができたが、その多くはその戦争で死んでしまった。

しかし、老人の息子は足を負傷していたので、
戦いに行かずに済み、無事であった。
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この話は、中国の古い書物「淮南子(えなんじ)」に記載。
人間万事塞翁が馬」の「人間(じんかん)」とは日本で
言う人間(にんげん)の事ではなく、世間(せけん)という意味。
「塞翁」というのは、城塞に住んでいる「翁(おきな)
=老人」という意味。

「城塞に住む老人の馬がもたらした運命は、
福から禍(わざわい)へ、また禍(わざわい)から福へと
人生に変化をもたらした。まったく禍福というのは予測できない
ものである。」ということわざである