日本蘇生への道標ー4

そもそも、BIS規制は

「日本のオーバープレゼンスを是正することを目的」
として1987年にG10諸国で合意された規制であり、
その達成期限も邦銀は1993年3月までに自己資本比率8%を
達成することを義務付けられていた。

更に追い討ちをかけるように、92年の12月19日から
米国では新自己資本比率規制とも言われるPCAが実施される。

このPCAは自己資本比率を基軸に5段階評価され、
第1段階の銀行に対しては、新規業務を認めるほか
リワードを与える一方で、第5段階の銀行には、銀行監督者に
強制的に整理を強いるというアメとムチで処遇するというものであった。

ここで重要なのは米国銀行の約93%がこの第1段階に入るという事実で
あり、米国はこの第1段階の評価基準に新たに自己資本比率10%という
基準を持ち込んでいる。

このPCAこそが93年3月以降、第2次BIS規制の原型となる可能性が
あるのである。

更に金利リスク・株式リスク・為替リスクといったリスク
指標が盛り込まれる可能性が高く、引き続き、BIS規制が邦銀の国際金融
マーケットでのプレゼンスを制約してくるものと思われる。

一方、日本国内を襲っている資産・負債デフレの荒波はなかなか出口が見出
せないでいる。

現在、日本経済に起きている現象は、経費節減等個々に対処しようとすれば
するほど不況が深刻化するという「合成の誤謬」と呼ばれる現象であり、
節約デフレと資産・負債デフレが相乗的に景気の足を引っ張る悪循環
となっっている。

更なる問題は、米国経済の立ち上がりが鈍く、欧州共々世界同時不況からの
脱出ができない中で、日本の貿易黒字が過去最大規模へ拡大していることに
ある。

今後、日本の異質性に対する国際社会からの監視と批判が強まりを見せる
こととなろう。

さて、長らく揉めてきたガット・ウルグアイラウンド多国間貿易交渉も
ECと米国の対立に急展開が見られ、これまで高見の見物を決め込んでいた
日本政府を慌てさせている。

小資源国であり、島国の日本にとり、自由貿易体制の維持は国家の安全保障
上も、最優先すべき命綱である。

今、もし仮に、日本が米の自由化に拘り、条件闘争を選択した場合、日本が
異を唱えた為にガット・ウルグアイラウンド多国間貿易交渉が決裂したこと
の全責任を負うことになり、世界の孤児となってしまう危険を孕んでいる。