人生の歩き方(7.歴史観)

7.「歴史観」について

これまで、人生観の確立の必要性について説いてきましたが、もうひとつ
人生を過ごす上で極めて重要なことがあります。

自分達の民族がどういう生い立ちをたどって、今日に至ったのか?
その過程で,世界とどういう係わりを持ってきたか? 歴史に学ぶことです。

先人がこれまで永年にわたり築いてきた伝統と日本民族としての誇りは何か?

これから、日本は何を精神的な支柱として世界と付き合っていけばいいのか?
更に目を世界に転じて、人類の辿ってきた歴史、その中で発生した事実・軍事・
経済・文化・科学の発展と社会の歩みなど興味を持って検証していくことが
必要です。

もし余裕があれば、旅をして歴史の現場に足を運び、そこで目を閉じて
過去の出来事を想像して見るといいでしょう。
まさに百聞は一見にしかず。きっとあなたの脳裏に過去の歴史が
生き生きと再現されることでしょう。

こうして蓄積した内外の歴史の知識から、現代に参考となる事例はないか?
を探すことも必要な工程であり、歴史に学ぶ心構えを持つことが必要です。

重要な事は「歴史は繰り返す。」という事実を認識し、謙虚に、現在の諸問題を
解決する為に、先人の知恵を借りることです。

ここで、筆者自身が、分析し過去に予測しえた歴史に学んだ実例をあげて
見ましょう。

経済学の分野で、景気循環の最も長い波動に、「ゴンドラチェフの波」と
いう60年の長期波動があります。

干支の世界でも不思議なことに同じ60年という共通の周期を持っている
ことに気付き、不思議でなりませんでした。

どうしてなのか?自分なりに、思いを巡らせてみました。
結果、辿り着いた推測は、例えば25歳で社会人となった人間が60年後
であれば、85歳となり、功なり名を遂げた人物でも実社会では現役として
後進の指導をする立場ではなくなっている筈です。

一般的に影響力も少なくななっているであろうことと関係があるのではないか?
との推測でした。

従って、その人物が体得した知恵やいい意味での経験が後輩に正しく伝わらなくなり、
また同じ間違いを繰り返してしまうのではないだろうか?という推測でした。

過去、人間は同じサイクルで経済活動でも、社会活動でも同じパターンを
繰り返してきたのではないでしょうか?

日本のバブル崩壊後、日本の株式市場が今後どう推移するか?を予測する
に際し、一定の前提条件を示し、作業してみました。

ここで、私が出した条件は、米国の1915年をスタート時点とし
日本のスタート時点はその丁度60年後の1975年を夫々100として
グラフを作成し、通貨の換算率を1ドル=100円と置くという
当時(平成3年)としては奇抜なものでした。

当時の米国は世界一の債権国であり、債務国はイギリスでした。
60年後、立場は入れ替わり、日本が最大の債権国となり、米国が
最大の債務国となっていました。

1929年の世界恐慌を契機にし、長期間、世界経済は低迷を余儀なく
されました。
二つのグラフは、平成3年当時、恐ろしいように重なり合い、
ニューヨークダウの底値と日経平均株価とを重ね合わせたときに
その株価の底値のレベルは5千円をさしていました。

平成3年当時の株価からは容易には想像できないレベルでしたが、
その後、実際に株式相場は一時7千円台をつけるまで暴落し、
その予測が略正しかったことを株価が証明してくれました。

歴史観を持つ過程で形成される世界観を通して
「人生観」→「人生哲学」→「社会的価値観」を見出していく。

こうした視野の中から「日本の置かれた位置づけ」を見つめ直し、
「国家のあり方」を考え、経営戦略も考え抜いていく。
こうした思考フローもあっていいのではないでしょうか。