時間の作り方(その3)

さて、次は、会社の昼休みのランチの取り方について、これまで実践してきた
工夫について触れて見たいと思います。

皆さんは昼食を一年間で何日、何食、どんな方たちと食事を摂っていますか?
自分の実例の紹介となって恐縮ですが、情報収集の手段としての昼食時間の
活用方法について説明しましょう。

筆者は、ある都市銀行の証券部門に9年間勤務後、親密証券会社の企画室長
として転任した経験があります。

当事、都市銀行の証券部門の職場では、普段から当然のように入手してきた
種々の政治経済金融情報の中でも一次情報は豊富に集まってきておりました。

しかし、これらは、当然、カネも払いながらも自分の情報収集力によるもの
と自惚れていました。

ところが、現実は厳しく惨めなものでした。
中小証券会社の一企画部長の立場では、これまで入ってきて当然と思われた
情報は約7割程度が入手できなくなりました。

結局、都市銀行という巨大組織の先人たちの歴史とブランド力(信用)の
厚みのお蔭で入手できていた情報であり、自分個人の人脈で入手できるもの
は極めて少ないという現実に直面しました。

屈辱感を味わいながら、どうすればいいのかと、証券会社の企画部門を
担当する職責をどう果たしていけばいいのか? 
ショックを受けながらも、解決方法を必死に模索しました。

これまでは、銀行が最終投資家として莫大な証券を保有し、入れ替えや、
売買のチャンスに参入したいと考える証券業者が売買の発注を受けようと
先方から必死に情報を持参してくる仕組みの中で、一次情報など貴重な
情報も含まれていました。

待ちの姿勢で簡単に情報が入手できた立場が変わったことを認識し、
今度は、逆の立場に立ち、自分から情報を求め、動くことで、少しでも
良質の情報を入手できるよう行動することが解決策でした。

このためには、数多くの相手と接触し、当方からも相手が納得する情報を
与える力を持つことが必要でした。

このため、昼食を情報収集のためのビジネスランチ(パワーランチという呼称)
と位置づけ、交通の往復時間に一時間を充当し、別途会食に一時間と
合計二時間をランチとして認めて貰いました。

一年間で休日・祝日を除くと略200日、200人の人間と情報交換が可能となります。
実際には、一定の周期で同じメンバーと会食する必要があり、50人程度でしたが、
事前に情報を整理し、当方から与える有力な情報も持ち、相手とギブアンドテイク
の関係を維持しながら新たな情報を入手することができました。

この行動管理に工夫したものが「コミュニケーション管理表」でした。

この表は会うべき人物をリスト化し、夫々の人物毎に、年間、何回、
会うたいと考えているか?回数を記入します。

その欄の隣に、前回、会食した日付と場所を入れて置きます。
そうすると、指定された頻度に併せて、次回、いつ頃に
昼食のアポイントを入れなければならないか、優先順位も併せて浮かんできます。
後は、「コミュニケーション管理表」に従って、アポイントを入れていくだけです。