人財資源活用への道標-1

1.【はじめに】
急速な経済発展を続ける中国が、米国と共に世界経済のリーダー役の一翼を
担う立場へとその存在感を次第に膨らませている。

一方、日本は、長きにわたり保ち続けたGDP世界2位の地位を、
今年、中国に明け渡すばかりでなく、これまでアジアで圧倒的な優位を
誇った特許申請件数他、多くの分野で優位を失い、
自信と誇りまで一緒に失いつつある。

かつて、日本の中小企業とその経営者は、戦後の焼け野原から永年にわたる
努力の積み重ねで「ものづくり」の技術力を磨き続け、
わが国が目覚しい経済発展を遂げる原動力となった。

こうした逞しい中小企業の存在があってこそ、日本は、急速な経済復興を果たし、
世界に冠たる経済大国となり得た。

今をときめく大企業も、彼らの働きや下支えがあって初めて今日の成長を
果たすことができた。
大企業にとって中小企業はいわば恩人であった。

しかし、大企業は、プラザ合意以降、急激なスピードで進む円高を受け、
自らの生き残りを掛け、アジア諸国に工場を建設し、
割安な人件費を求めて部品加工など下請け業務を海外に移転せざるを得なくなった。

こうして、わが国の中小企業は、至宝ともいうべき優れた産業技術や
匠の技を多く持ちながらも、受注がジワジワと落ち込み赤字金額が膨らんだ。

その結果、中小企業の一部は、技術を活かせないまま業務縮小に追い込まれる等、
事業の継続に多くの不安を抱え苦しんでいる。