日本蘇生への道標ー1

 日本の蘇生への道標
(平成4年当時の政治改革提言)

本稿では略20年前の、平成4年11月当時に、
日本が置かれた諸環境を踏まえ、政治面でも
平成維新とでもいうべき抜本的な改革を提言
した拙文が、現在の日本の将来を考えるうえで
少しでも参考になればと願い、敢えて、当時の
原文のまま、紹介させていただきたい。

(記述内容が当時のままとなっていることを
 お許しいただきたい)

以下、本文
現在、日本が直面している不況は過去の経験則を
ベースとした単純な景気循環論では説明できないほど
深刻なものであり、宮崎義一氏が「複合不況」と
名づけた所以でもある。

戦後の日本の高度経済成長は以下の諸要因が大きな
牽引力となってもたらされたといえよう。

即ち、
(1)自民党の一党支配による政治の長期安定があったこと

(2)政策を支える有能な官僚による行政システム

(3)強力な行政指導に基づく効率的な官民一体型の
   産業振興策(政府関係金融制度の充実と倒産等
   リスクプレミアムを低くした護送船団方式と諸慣行)

(4)企業グループ等法人相互間の株式持合いを中心とした
   法人資本主義の進展
  (この為、企業経営者は配当負担も少なく、内部留保
   や含み益の蓄積に励むことができた)

(5)年功序列・終身雇用制度に裏打ちされた良質の
   安定した労働力の確保

(6)国民の高い貯蓄率

(7)規制金利や日銀貸し出しを通じ、銀行は
   低コストの資金調達が可能
(8)企業も銀行や資本市場から低コストで資金調達ができたこと

(9)「土地神話」に立脚した過度の信用創造システム等である。

このように、極めて好都合なシステムの存在が日本をして歴史的にも極めて
稀なほどの高度成長をもたらしたのである。