目指すべき国家像ー3

次に、経済面からの再建策について論じたい。

前術の1.【日本の強みは何か】の欄で「ものづくり」が
歴史的にも日本人の国民性に合致していることが見てとれた。

中小企業の経営者とその社員は、戦後の焼け野原から必死に
なって勤勉に働いた。

永年にわたり、努力を積み重ね、「ものづくり」の技術力を
磨き続けた。

こうした、地道な努力が目覚しい経済発展を遂げる原動力と
なった。

逞しい中小企業の存在に支えられ、日本は急速な経済復興を果たし、
世界に冠たる経済大国となり得た。

今をときめく大企業も、彼らの働きや下支えがあって初めて
今日の成長を果たすことができた。

大企業にとって中小企業はいわば恩人であった。しかし、
大企業は、プラザ合意以降、急激なスピードで進む円高を受け、
自らの生き残りを賭け、アジア諸国に工場を建設し、割安な人件費を
求めて部品加工など下請け業務を海外に移転せざるを得なくなった。

こうして、わが国の中小企業は、至宝ともいうべき、優れた産業技術や、
伝統工芸、文化遺産といった多くの分野で、匠の技を数多く持ちながらも、
受注がジワジワと落ち込み、赤字金額が膨らんでいった。

中小企業の一部は、技術を活かせないまま業務縮小に追い込まれる等、
事業の継続に多くの不安を抱え苦しんでいる。

そのため、中小企業の一部は、外部(海外)資本に頼らざるを得なくなり、
基幹産業技術が海外資本の手に移る、いわゆる「技術の海外流出」
を招いている。

このまま放置を続けた場合、日本の中小企業は更に競争力を失い、
衰退への道を辿らざるを得ない。