歴史の真実(櫻井よしこ 迷走日本の原点から)

太平洋戦争に踏み切った日本側の事情や思いについても
教えていくことを忘れてはならない。
他のどの国も忖度してくれない日本の歴史の事情について
日本人であればこそ、教えていく必要がある。

歴史というものは、事件や戦争や事象が終わった直後に、
その全体像が解明されることはない。

2000年の春に、米国で出版された「Day of Deceit」
というロバート・スティネットの著書は、真珠湾攻撃から50年を経て
公開された米国政府文書595点を駆使し、真珠湾攻撃は米国が
日本を無謀な戦争に踏み切らせるために作成した8段階にわたる
「対日開戦促進計画」の結果であることを明かした。

のみならず、米国が日本を極限まで追い詰め開戦に踏み切らせたのは
米国自身がヨーロッパ戦線でドイツに圧倒され苦境に陥っていた
英国を救うため、何としても参戦したいと考えており、そのため
米国民の厭戦気分を吹き飛ばす方法を模索していたことも描いている。

歴史の評価とは斯くも難しい。
それだけに、自国の歴史を教える時は、自国の歴史の影の部分と共に
自国がなぜそうしたのかという検証を日本の立場にたって行うことが
必要である。どの国も、自国の教育に当然のこととして為している必然
の作業である。