宮沢 賢治の手帳から

宮沢賢治が書き残した一冊の手帳の写しが手許にある。

過去にある展示会で本物そっくりに似せた手帳を購入したもの。
中身は本人の直筆で、漢字とカタカナ混じりで殴り書きし、
病に発熱した様子や、有名な「雨ニモマケズ・・」やお経の写経
なのか、丁度30頁にわたり書き込んでいる。

皆さんにお見せできないのが残念であるが、本人の筆跡、
感情の吐露したメモ書きなど生々しい記録であった。

還暦を迎えた今、何故か新鮮な響きを持つ文を記載する。

雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ嗔ラズ
イツモシズカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト味噌と少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨク ミキキシワカリ
ソシテワスレズ野原ノ松ノ林ノ蔭ノ小サナ萱ブキノ
小屋ニヰテ
東ニ病氣ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ 行ッテコハガラナクテモイイトイヒ
北ニケンクワヤ ソショウガアレバ ツマラナイカ
ヤメロトイヒ ヒドリノトキハ ナミダヲナガシ
サムサノナツハ オロオロアルキ ミンナニ デクノボート
ヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ サウイウ モノニ
ワタシハ ナリタイ」